性癖って遺伝するのでしょうか
ここでは、性癖(せいへき)を性的嗜好として考えてみます。
性癖が遺伝するならば、「母親が目隠しプレイが好き」という場合、その母親から生まれた子(娘または息子)も目隠しプレイが好き、ということになります。
こんなことってあるのでしょうか?
ありそうにも思えますが、実際には性癖が遺伝する(父や母と似る)とは言えないでしょう。
性癖は性格と同じ
性癖は、「性質上のかたより。くせ。」(出所:デジタル大辞泉)であるとされます。
ここで性質とは、いわばその人の持つ性格と同じことです。
それでは、性格は遺伝するのでしょうか?
生まれ持った性格を決定付ける「性格遺伝子」とも言えるものは存在しないと言われています。つまり、私たちが生まれ持つ性格は、確かに父親と母親の遺伝子が混ざり合った結果としてのものですが、それぞれの遺伝子をランダムに半分ずつ受け継ぐことで全く新しい遺伝子を持って生まれてきています。
良くあの子の性格は母親に似ているとか、あの部分は父親に似ている、といったことが言われますが、それは結果的にそう見えるということに過ぎません。
性格は、生まれ持ったものに加えて、「家族との生活」などによって後天的に作られる部分もあります。親と一緒に生活することで、一部が似るということはあり得るでしょう。
ただし、一緒に生活をするからといって必ずしも性格が似るということもありません。
性癖は見せないから似にくい
性癖というのは、パートナーには見せる(分かる)ことがあっても、それ以外の人に見せるということは少ないでしょう。
仮に、持って生まれた性格が、家族との生活の中で家族の影響を大きく受けるならば、性格そのものも家族と似ることはあり得ます。しかし、性癖は親から子へ伝えるという機会はよほど特殊な家族でなければないことです。
ですから、親が「目隠しプレイが好き」で、子供も「目隠しプレイが好き」だったとしたら、それは遺伝によるものでもなければ、家族との生活の中で似ることで形成された性癖でもありません。
たまたま親子で同じ性癖だった、という結果論に過ぎないと言えるのです。
性癖遺伝で心配なこと
「夫(あるいは妻)が異常性癖なので、子供に遺伝しないだろうか」という心配は必要ありません。
ただし、父と母の遺伝子がミックスされ、全く新しい遺伝子が作られるわけですから、互いにおかしな性癖を持っていない両親から特殊な性癖を持つ子が生まれる可能性はあり得ます。
それを事前に防ぐというのはできませんが、性癖は性格と同じで個性なのですから、子供がどのような性癖を持っていても受け入れる必要があるでしょう。もっとも、自分の子供の性癖を知っている親というのは現実的には少なく、たいていの場合、何らかの性犯罪を起こしてしまうことで気付くようになります。
日常生活で、犯罪につながりそうな性癖を子供が持っていることが分かったならば、何らかの対応は必要になるかもしれません。でも、誰でも何らかの性癖を持っているものなので、それほど神経質に捉える必要はないと考えられます。